郡山医療生活協同組合 桑野協立病院

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腱板断裂

【病気の説明】腱板は肩甲骨と上腕を連結する腱です。右図のように腱が上腕に付く所が切れる病気が腱板断裂です。
この腱は加齢により切れる唯一の腱であり、断裂率は50歳で13%、80歳では50%にまで達します。たとえ腱が切れても、肩の痛くなるヒトは30%であり、70%のヒトは切れていることにも気づきません。では腱板断裂で肩の痛みはどうして起こるのか。切れた腱のために肩が痛くなるわけではありません。
腱板は棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の4つの筋肉から構成されます。切れるのは棘上筋腱と棘下筋腱ですが、肩の痛みを起こすヒトは肩甲骨の動きが低下したり、肋骨の動きが低下したり、烏口上腕靭帯という靭帯が厚くなりなったり、原因がヒトにより異なることが分かりました。

症 状
最初は、運転中ハンドルを切る時、洗濯物を干す時、高い所の物を取る時、反対の肩に手を回す時、肩の違和感があります。ひどくなると、睡眠中寝返りや布団を引っ張るだけで目が覚め、さらに前述の動作をすると肩に痛みが走るようになります。
治 療
私の外来では、まず動きの低下した肩甲骨を動かし、厚くなった烏口上腕靭帯を切ります。これで痛みなく肩を動かせます。睡眠中の痛みがひどい場合には、肩関節に注射をします。リハビリテーションをすると3か月で90%の方は治ります。しかし、(1)ケガで切れた場合、(2)切れた腱の端がひっかかる、(3)腕の位置によっては肩がガクッとする、(4)力が出ない、(5)肩甲下筋腱が切れている場合、これらには手術をお勧めします。手術後完全に回復するには3か月から12か月を要します。他施設と比較しリハビリテーションの成績が良いので、当院の手術頻度は少ないはずです。
今後の課題
腱板の切れる年齢は50歳以降です。推測ですが、腱板を自ら切って肩関節の動きを保とうとするようです。切れた部位の面積が小さければ問題ありませんが、断裂が大きくなると肩関節が安定しない、力が入らなくなる場合があります。