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郡山医療生活協同組合 桑野協立病院

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反復性肩関節脱臼

【病気の説明】肩関節は上腕骨と肩甲骨が作る関節です。図のように前・上から見ても凹凸関節を形成します。ラグビーなどのコンタクトスポーツ、転倒によって肩が前方に脱臼すると、一旦整復してもすぐに脱臼しやすくなります。その状態を反復性肩関節脱臼と呼び、初めて脱臼した年齢が20歳以下であれば、反復性肩関節脱臼になる確率は80%にも達します。図のように上腕が前方に脱臼する際、関節唇や関節内靱帯の損傷を伴い、その後は関節唇や関節内靱帯による上腕骨の安定性がなく、容易に脱臼します。
 動揺肩という類似した病気があります。動揺肩とは、もともと肩が緩く、軽度の外傷をきっかけに、前方・下方・後方へ不安定な状態です。少々むずかしくなりますが、動揺肩がありその上に肩関節前方脱臼を合併すると、少々厄介になります。

症 状
腕が体の前にある状態では問題ありませんが、あくびをしたり、手を頭の後ろにする動作で、肩が抜けそうになります。私の治療した患者さんで再脱臼した回数は少ないヒトで4回、多いヒトで72回です。再脱臼すると自分で整復できる場合もありますが、ほとんどで医師の整復を必要とします。再脱臼を経験したヒトは、肩の高さから後ろに腕を回すことを嫌います。
治 療
脱臼に伴い関節唇や関節内靱帯損傷を起こしているので、基本的には手術になります。関節鏡を使い関節を開けることなく、糸付きアンカーを肩甲骨の関節面に打ち込み、緩んだ関節唇や関節内靱帯を修復します。この手術の成績は非常によく96%が脱臼しなくなります。手術のタイミングは医師が決めるのではなく、ほとんど患者さまが望んだ時が手術となります。また、持病としててんかん発作のある患者さまにはお勧めできません。
 動揺肩を伴った反復性肩関節脱臼に同じ手術をすると、再脱臼率は高くかつ後方・下方に脱臼しやすくなります。したがって、関節包縫縮術という異なる手術を選択しなくてはなりません。【病気の説明】で動揺肩には注意を要すると述べた理由はこの点です。