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郡山医療生活協同組合 桑野協立病院

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特発性凍結肩(五十肩)

【病気の説明】五十肩という呼び名が一般的です。この病名は「俚言集覧」という江戸時代の俗語辞典から引用された言葉です。江戸時代にも腕が挙がらず困ったヒトがいたというのはおもしろいですね。この病気を最初に記載したのはフランス人のデュプレーであり、彼の業績に敬意を表し、肩関節周囲炎ともいいます。このHPでは特発性凍結肩(凍結肩)という病名を使います。特発性とは原因不明という意味です。

 デュプレーが1872年に発表して以来145年経過しますが、未だにわからないまま(特発性)です。しかし、私たちは凍結肩には3種類あることを突き止め、日本肩関節学会で発表しました。3種類とは大胸筋(前方)タイプ、肋骨・肩甲骨(後方)タイプ、震災タイプ(動き過ぎる肩甲骨)です。名前のとおり大胸筋が硬くなり肩が動かない、肋骨・肩甲骨の硬さによって肩が動かない、動き過ぎる肩甲骨と違いがあるため、治療法を変えなくてはなりません。
 郡山周辺では2011年7月以降震災タイプが急増しました。郡山市では震災と原発事故後に増えましたが、他県で診察した凍結肩はこのタイプでしたので日本では震災タイプが多いのかもしれません。震災タイプについてかなり分かってきましたが、動き過ぎる肩甲骨が原因ですので、肩甲骨の動きと肋骨の動きを同調させてやることが必要です。

症 状
結肩の症状は前方タイプであれば、胸や腕に、後方・震災タイプなら背中や肩甲骨周囲の違和感・凝りから始まり、その後肩の痛みに移行します。最終的には肩の関節包は図のように縮み(癒着性関節包炎)、肩の動きは極端に制限されます。その結果、さまざまな日常生活動作で肩の痛みが走るようになります。肩の痛みと硬さのためズボンを上げられない、お尻を拭けない、手が後ろに回らない、頭に手が届かず来院される方が多くいます。
治 療
基本的に手術をせず、リハビリテーションで治してきました。前方タイプには大胸筋の硬さを取り、鎖骨や肋骨を動くようにすれば2か月で良くなります。しかし後方・震災タイプは治りにくく、治療を始めるのが遅く腕が90度程度しか挙がらなくなると、治癒まで1年以上かかることもあります。そこで、当院では神経ブロックで肩に麻酔した後、硬くなった関節包を破るマニピュレーションをします。これにより1年かかった治療を4か月まで短縮しました。しかし、手を後ろにうまく回せない患者さまが20%いることから、2017年6月からは鏡視下手術が一番成績が良いと結論いたしました。
さらに、糖尿病がある場合と震災タイプの方で全身関節弛緩のある場合には成績が悪いことがわかりました。